分析記事 aikoさんの「白い道」のドラムを少しずつ分析してみた
※注意 今回は長文です。
今回取り上げる曲「白い道」は歌手aikoさんが2012年に発売したアルバム「時のシルエット」に収録されています。
この曲のドラマーはそのプレイの特徴からも分かるように佐野康夫さんです。アルバムのクレジットにもお名前の記載があります。
この曲はキメが多く、難易度が高い曲です。
少しずつ区切って分析したいと思います。
0:00〜0:05
最初のイントロからキメでドラムや他の楽器が入っています。
キメに対してドラムはスネアとハイハットで入れていますが、ハイハットのオープンの長さがちょうど良い長さになっており他の楽器とピッタリ合っています。
長すぎず短すぎずで完璧なコントロールと思います。
またその後も続いてスネアとタムのフィルインで入ります。
この時、直前では恐らくダブルストロークで4打程のゴーストノートがフィルインに先行しさています。
またその後のビートはハイハットのオープンクローズで刻んでいます。
0:05〜0:22
ハイハットのビートが続きます。
ここのビートは左足でハイハットのオープンクローズを常にコントロールします。また同時に右足のバスドラを細かく打つと両足をバラバラに使うことになるので体幹バランスが難しいのですが、まさかの右足でダブルの足を踏んでいます。体のバランスコントロールが凄いです。。。
0:22〜0:56
Aメロです。2小節毎で繰り返してキメが出てきます。この曲の中ではここが最もドラマー的に美味しいかつ難しい部分になります。
小節の前半部分にキメが多いので、ドラム的にはちょっとソロに近いフレーズになっています。
また、毎回同じリズムのキメに対して、どういう風に叩いてフレーズを変えていくかがドラマー的なセンスの見せ所になるかと思いますが、佐野康夫さんは見事に多彩に叩かれておりますし、これがまたカッコいいフレーズになっています。
・学ぶポイント
この曲はコピーをする時にも色んなフレーズが出てきてフレーズの勉強になります。全体の流れを見ても最初の方のフィルはシンプルに、段々と後半になるにつれ難しいフィルに、と変化しています。この変化の付け方も勉強になります。
・音選びのセンス
ドラマー的な目線で言うと、キメに対してドラムの各楽器を何で合わせるのか?と言うことが重要になってきます。
つまりキメに対して、ハットなのか、クラッシュなのか、スネアなのか、もしくはスネアとクラッシュやスネアとハイハットのように組み合わせるのか?という部分にセンスが問われます。
そして言うまでもなく、ここではセンスありまくりなドラムになっています。。。
・Aメロの2小節毎のフィルインの流れに対して
2小節のうち、前半のキメもありますが、後半部分でもフィルを入れたくなると思います。こちらでは前半では使っていなかったタムなども使うようにして変化を加えています。
また小節の後半でフィルから次の小説頭に行こうとすると、普通は頭にクラッシュを入れたくなるのですが、小節の頭はキメ的には休み、休符に当たるので、そこはあえて休んで(←これがドラマー的には意外と難しい)、次の二打目のキメの所にクラッシュを持ってくるというのが、最高にカッコいいですね。
それと2番Aメロでも同じキメが発生するので、長い尺で見てフレーズを変えないと、と思うと良くここまで多彩なフレーズが出せるなぁと思ってしまいます。
0:56〜1:04
Bメロは半分のテンポの感覚になります。
今までとはうって変わって、シンプルなビートを刻んでいます。
しかしながら、叩いている身としては、逆に前につんのめりそうになる感じです。
Aメロのスピード感でBメロに入るときっとアマチュアの私とかなら走ってしまうだろうな〜と思います。
1:04〜1:30
サビに入り、ライドでカップを使いながら叩いています。また足もダブルがありますね。
1:30〜1:39
1番と2番の間の部分
最後のフィルインはルーディメンツを入れながらアクセントの部分を1度目はハイハット、2度目もハイハット、3度目はタムと変えていますね。
1:39〜1:56
2番Aメロ
ドラマー的にはほとんど休みの部分ですが、最後のフィルインに関しては驚きです。
通常、フィルインにハイハットを絡めるというのはあまり行われません。
ハイハットが馴染むような組み合わせのフィルインというのは割と難しいものです。
しかし、ここでは16部音符でスネア、ハイハット、スネア、ハイハットと交互に入れていて自然なフィルインとなっています。また正確には一つの塊としてはこの後にスネア、ハイタムが入っています。同じ手順で続いています。
・このフィルと歌詞との関係性について
この時の直前のaikoさんの歌では「冷たい風に汗をかく」という歌詞になっていますが、「つめたいかぜ」辺りまでをインスパイアしてフィルインで表現しているように感じます。
「冷たい」の部分をハイハットを絡ませて高音域で、「かぜ」の「ぜ」の部分が安定が下がっているので、タムで合わせることによって中音域がなっています。
こうすることによって、通常は組み込むのが難しいハイハットを含むフィルインが歌詞と近い聞こえ方なので、相互作用を起こして自然に聞こえるのではないかと思います。
このように、直前の他の楽器や歌に呼応する形で、より自然なフレーズに聞こえるというは佐野康夫さんを聞いていて時々感じるところがあります。
また上記の様な呼応するフレーズというのは割とジャズの要素に近いなと思います。佐野さんはジャズもされていたので、その様なスタイルなのかもしれないと思ったりします。
今回は長くなったのでここまでしたいと思います。
最後まで読んでくださってありがとうございました!